本書は、ハイイールド債投資や不良債権への投資が主力であるオークツリー・キャピタル・マネジメントの創業者、ハワード・マークスによって書かれた書籍です。
何となくですが、リスクを限定しつつ、相場の底買い・山売りを狙う考え方が書かれているように感じました。
以下、特に心に残った個所についての読後所感ですが、本書の中で特に響いた点は、
・振り子を意識する
・逆張りをする
・我慢強く待つ
この3点と訳者あとがきです。
・振り子を意識する
“すべてが順調で価格が高騰しているとき、投資家は慎重さを忘れ去り、買いに殺到する”
割高の市場においては低リターン・高リスク、皆知っている原理原則にも関わらず、強欲に支配され、機械逸失を恐れるような心理に染まってしまうのと、この原理原則を忘れてしまうのが人間の性なのだなと気づきました。
・逆張りをする、我慢強く待つ
“投資で成功するには、一般的な見方と相いれないために居心地の悪さを感じるポジションを貫き通す必要がある”
居心地の悪さ、これは自分が見極めた本質的価値と市場価格と乖離状態のある投資先について一か所だけナンピン買いについても記述されていたので、含み損になってしまった居心地の悪さ、というニュアンスだととらえました。
リーマンショックやコロナショックの急落の中で、居心地の悪さを感じながら、本質的価値を下回る投資先を我慢強く買うことができる数少ない人だけが、底買い・山売りの恩恵を受けられる、と認識しました。
上記のほかに、本書のいたるところで述べられてる「人間の強欲」についてにハッとさせられました。
私は、資産形成を初めてまだ6年目の若輩者ですが、始めた当初は専門知識も皆無で、もちろん個別株の売買しかしておりませんでした。結局のところ利益が出せるかどうかは運の要素がほとんどで、自分の「もっと儲けたい、勝ちたい」という欲望をどうコントロールするのかのほうがずっと大事なのではないか?と思っておりました。
その後、インデックスファンドの積立という考え方に出会い、ポートフォリオをガラッと変え、最近まで資産形成を始めたころのことをすっかり忘れておりましたが、まさに、このような高尚な書籍で似たようなことが書かれているとは思いもしませんでした。
そして最後に興味深かったのは、訳者あとがきにて述べられていた2点です。
・2011年に発売されるや話題となり、ベストセラーにランク入りしたこと ・バフェットが大絶賛して、本書を大量に購入し、株主総会で配布したこと
こういった事実から、少なからず多くの人が本書を目にしているであろうと思うのですが、それにも関わらず、コロナショック前や現在のダウのように、(少なくとも私は割高に感じているのですが)振り子は振り子であるがゆえに適正価格には決してと留まらない、という現実です。
振り子がとどまらないからこそ、市場平均を上回るリターンを上げることができる達人がいるのかもしれませんが…
積立をしながら、強欲に支配されず、我慢強く「〇年に一度」のチャンスを待ちたいと思います。
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