イシマル書房とキネマの神様
今回は2冊の読後所感です。
アイアンの死とイシマル書房の延命、ローズバッドの死とテアトル銀幕の延命。
どちらも死と延命がテーマのように感じました。
舞台設定は異なる2冊でしたが、両方とも現在の社会情勢を重ねながら、「生き残る」という視点で読ませていただきました。
そして生き残ることができるのは、自分一人でもがき苦しむだけでは足らず、
周囲の環境や人々に助けられて初めて生かされる、という気付きがありました。
■イシマル書房
実家が印刷業であること、出版社に入社したこと、など主人公の設定や背景が私の近しい方と似通っている部分があり、興味深く読ませていただきました。
ストーリーとしては目前の危機からは脱出し、希望の見える終幕でしたが、
今後の出版業界や書籍市場の趨勢を考えても、生き残らなければならない状況が続くことを想像させられました。
現在の新型肺炎をはじめ、この先も様々な社会情勢の変化や危機に直面するでしょうが、そのたびに本書を思い出し、どうにかして生き残り、その先を見てみたいという気持ちで頑張りたいと思います。
■キネマの神様
本書を読み終わって思ったのは、映画公開予定だった、志村けんさんのゴウを映画館で観たかった、この一言に尽きます。
一時期映画の視聴にハマっていたこともあり、目黒、高田馬場、池袋、有楽町の名画座で見た当時のことを思い出しつつ、読ませていただきました。
ネットフリックスやアマゾンプライムが主流になってきた現在の流れで考えると、映画館も生き残ることが難しい時代なのだなとつくづく感じます。
最後に余談ですが、映画館でみるのとDVDを借りて家でみるのではまったく違うという主張は、私も経験しているところであります。
ひとつだけ例を挙げさせていただきたいのですが、昔、池袋の名画座で、3度目にして初めて映画館で視聴した大脱走(The Great Escape)は、大画面で見る圧巻のタイトルを見た瞬間に、家のテレビ画面でみたものとは全く異なる作品だ!
と鳥肌が立ったのを思い出しました。
若いころからこんな演技ができるなんてスティーブ・マックイーンのかっこよさは別格だな…と思ったものです。
最近は映画館から遠ざかっておりますが、時間を作って名画座に通うことをバケットリストに加えたいと思います。
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