お金か人生か――給料がなくても豊かになれる9ステップ ヴィッキー・ロビン
読後所感です。
『大量消費主義という偶像』
「人は不安や排他性、罪悪感、強欲、承認欲求に突き動かされる、というのがマーケティング理論(マーケティングによって人々の心を動かす)」 「市場調査や洗練された心理学で武装した広告テクノロジーが私たちを感情的に揺さぶり、この商品を買えばその不安を解消できると約束する」 「人々の消費のメカニズムを細分化し、消費を促すような仕組みを作る」 自分のやっていることはまさにこの部分で、現職がマーケティングの自分にとっては、人々に金を消費させる行為、(本書で言わんとする人々からお金を搾取する行為)であることを認識させられました。
・ステップ1:資産表作成
自分の資産表BLを1セント単位で作成する、というステップです。普段使っているスマホやPCなどの市場価格(メルカリで売れそうな価格)を1円単位で計算し、資産として計上せよ、という任務です。 多くのアメリカ人は消費することが当たり前であるという価値観であるなら、ステップ1の「1セント単位での資産表作成」は現状分析としての効果は疑いようもないものだと思いました。 ただ、アメリカ人の大量消費主義が国是とされているならば、比較的に日本はアメリカよりも節約や貯蓄を推奨されてきたように感じます。 バブル時代の消費を係船していないのであくまでも想像と憶測ですが、もしバブルが崩壊しなければ、日本もいまだラットレースの大量消費で経済を回すという価値観だったかもしれません。
『お金とは、あなたの生命エネルギー』
本章で大量消費主義が偶像かもしれないという疑念が促進します。 「お金とはゲームであり、ルールにのっとってプレイしなければなりません」 「一番多くのおもちゃに囲まれて亡くなった人の勝ちという思い込みもゲームの基本設計の一部」 「モノを買いましょう。経済を成長させましょう。全員でプレイすればだれもが勝者です」 「インフレ、生活費、景気後退、不景気、私たちは経済指標を個人のこととして捉えるよう推奨される」 宇宙全体で調べれば地球人だけではないかもしれませんが、地球上の生き物の中では確かにお金という交換手段を使ているのは人間だけであり、人間は何者かによってマトリックスの映画の如く、ラットレースを走らされているのかもしれないと感じました。 人間の寿命、時間を差し出して得るのがお金であり、お金とは生命エネルギーであるという定義も納得です。
・ステップ2:収入と支出を1セント単位で把握する
ステップ2は自分の月次の損益計算書を作成することが任務となります。いわゆる家計簿です。 これまで家計簿なるものをつけたことがなく、仕組みを作るまで苦労しそうですが、幸いなことに両親は節約家だっためか、自分も雑貨や衣料品などモノに執着することがありません。 時々衝動買いはしますが、今や毎月の支出の大部分は金融商品の積立です。 築30年以上の賃貸住宅なので家賃もかなり抑えています。(さらなるダウングレードも可能ですが) 試してみるまで全容は把握できませんがこのステップではさらなる切りつめの余剰発見は期待できそうにないかなという印象です。
・ステップ3:収支表と生命エネルギーの換算
消費の機会が少ないのでこの箇所もステップ2と同様であまり構える必要はないかも、という希望的観測を持ちました。
・ステップ4:人生を考え直す3つの質問
もしお金のために働く必要がなくなったとき、お金の使い方がどう変わるか。 人生の目的。究極的な環境の中でも人間性を失わない、人生の意味。満足度を測る心の尺度。 稲盛和夫の「生き方」を読んで、働くことは人助けにつながるとおぼろげながら感じたことを思い出しました。 自分だったらどうするか。働くかボランティアするか、その時がいつになるのかわかりませんが部屋の壁に貼って時々自問自答したいと思います。
・ステップ5:生命エネルギーを可視化する
収支表の可視化、ウォールチャートの作成(家計簿をデスク前の壁など見えるところに貼って毎日その推移を把握すること)。 これは作成したキャッシュフロー表をチャートにして目につくところに貼りつければ済みそうです。 ディスカッションから外れますが、本章で書かれている「選択ではなく習慣にする、やりたいかどうかは関係各システム化する」という習慣化は同感です。 習慣化について書かれていた本で、「複利で伸びる1つの習慣」という本は今年読んだ中で最も感銘を受けました。習慣化するノウハウが満載です。 以下、一部引用いたします。
“「もっと本を読む」「もっと健康的な食事をする」という習は、目的は立派だが、いつ、どのように行くかという指示がない。もっと具体的にして、はっきりさせよう。ドアを閉じたら。歯を磨いたら。テーブルの席に着いたら。このように具体的であることが大切だ。新しい習慣が具体的なきっかけにしっかり結びついているほど、行う時間がきたことに気づきやすくなる。” “成功は到達すべき目標でもゴールラインでもない。改善の仕組みであり、果てしなく改良し続けるプロセスである。もしあなたが習慣を変えられずに困っているのなら、問題はあなたにあるのではない。仕組みに問題がある。悪い習慣を何度も繰り返してしまうのは、あなたが変えたくないからではなく、変えるための仕組みが間違っているからだ”
・必要なときだけ買うという規律は倹約の筋肉を鍛えること
消費活動を、国から許可された中毒であり没アメリカ的な薬物乱用の形態であると痛烈に酷評しており、その対策として規律ある買い物を推奨しています。この規律は時間とともに強化され、広告に惑わされないと提唱しています。消費の習慣を、節約の習慣へと変える効果が期待されます。 節約行動が筋トレ、なるほどです。
・節約する1,000,001の確実な方法
脳は少なくとも1秒間に1回、くるった猿のように無関係な思考を生み出し、11.6日間で1,000,001もの思考に到達するので思考に注意せよ、と警告しています。 最近読んだ別の本で、似たような内容の、ナポレオン・ヒルの言葉が引用されているのを思い出しました。 読んだときは何故かわかりませんでしたが、とにかく感銘を受けました。本書で書かれていることを読んで、なるほど!となりました。引用いたします。
“富を手に入れるためのマスターキーとは、自分の思考をコントロールすることだ。自分自身でコントロールできるものは自分の思考だけだ。”
・『クロスオーバーポイントでの戸惑い』
クロスオーバーポイントは、FIRE状態をさします。言い換えれば、死ぬまでの支出を資産が上回る状態です。理論的には年間支出額の25倍の資産を築き、それを年利4%で運用することでリタイアしても安定した生活が実現できるというものです。本書ではクロスオーバーポイントに達成した人が、本当に働かなくても生きていけるのは不安になる、というエピソードが書かれています。 未知への遭遇、未体験の将来に対しては、どうしても人間も不安になるようです。 自分のCF表によるとだいぶ先になりそうですが、設定した寿命と年齢のタイミングから訪れるであろう、将来のクロスオーバーポイントに対して気持ちの準備をしたいと思いました。 本書の中で、もしお金のために働く必要がなくなったとき、お金の使い方がどう変わるか。 この部分は本当に考えさせられました。現時点で思いつくのはプロボノ活動への参加です。 世の中には多くのプロボノ活動があるので、こういったコミュニティに参加し、世の中を良くしていきたいなという気持ちです。
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