―テン(読点)のうちかた(本書のP128より)
3番目に取り上げるのは「テン(読点)のうちかた」だ。小説や詩の作者が、文章表現に何かしらのニュアンスを加えるために「意図的に読点の配置を変える」という場合を除けば、わかりやすい文章を書くためには読点の打ち方も理解しておくべきだろう。
筆者は読点の打ち方の原則を説明する過程で次のように述べている。
…ということは、重要でないテンはうつべきでないともいえるわけであり、これは原則とってもよいほど注意すべきことがらであろう。
(P133より)
僕の場合、「読点は文章を読みやすくするために配置する」、あるいは「長い文で息継ぎのためにうつ」といった程度にしか意識していなかったので、読点の配置の原則も文章をわかりやすくする上で非常に有用だと勉強になった。本書で書かれている読点の打ち方の原則を参考に、自分が記述した過去の文を例に取り上げてみよう。
A:既婚女性のインテリアに対する考え方について、2006年と2011年を比較したアンケートによると、インテリアスタイルは、近年西欧風を好む傾向にある。インテリアコーディネートの参考先は、店頭や雑誌の割合が減り、WEBサイトからの収集が上昇している。自宅を新築する際のコーディネートは、自分で住環境に合わせて選ぶことを重視し、専門家に任せるという意向が減少している。
B:2006年と2011年を比較した既婚女性のインテリアに関するアンケートによると、近年は西欧風のインテリアスタイルを好む傾向にある。参考にするインテリアコーディネートの情報源は店頭や雑誌からWEBサイトへと移行している。自宅を新築する際は、住環境に合わせて自分でコーディネートすることを重視し、専門家に任せるという意向が減少している。
読点の重要性を意識するとBは読点の配置以外も修正する必要があったが、Aのような読点の多い文章が必ずしも読みやすいわけではないということがおわかりいただけると思う。
以上、意識すべき3つのポイントを紹介してきたが、最後に本書の「第六章助詞の使い方」に書かれている文章を引用してレビューを締めくくりたい。
この原理は、長い文をわかりやすくする上でたいへん利用価値がある。文は長ければわかりにくく、短ければわかりやすいという迷信がよくあるが、わかりやすさと長短とは本質的には関係がない。問題は書き手が日本語に通じているかどうかであって、長い文はその実力の差が表れやすいために、自信のない人は短い方が無難だというだけのことであろう。
(P225より)
引用にある「この原理」がどのような原理であるかは、是非本書を目にして確認してほしいと思う。
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