40代でエンジニア転職 42歳でコーディングの学習を始め、44歳でフロントエンドエンジニアに転職が決まった話④

エンジニア

今回は転職活動をどう進めたかについてです。

最初の記事でも述べた通り、転職する上でネックになると思っていた点は実務経験の薄さと年齢でした。今回は、自分の弱みに対してどう考えたかについて共有したいと思います。

40代という年齢

年齢について。

中途採用は「ボトルネックになっている業務をカバーできる人材を獲得するのが目的」ということを前提にすると、原理原則としては業務に対応できそうな経験や能力を有している応募者が候補になります。ただ一方で、その業務に関わるメンバーの年齢や性格などを考慮すると、恐らく企業によっては30代以上は足切りになるケースが多いのでは、と考えます。

ただ、年齢に対しては、若返ることはできないし年齢詐称もできないので、自分が直接的に解決できる問題ではありません。したがって、年齢という弱みをなるべく回避する、目立たなくさせる方法しか取れませんでした。

そこで、年齢という要素が優先順位としてそこまで高くないと思われる企業について考えました。例えば、エンジニアとしてのポジションの他にも、ボトルネックになるような業務があり、その業務もカバーできるとするなら結果的に一石二鳥の人材として採用を検討してもらえそうな企業…。思いついたのは①創業して間もないスタートアップ企業、②年齢はそこまで考慮されない外資系企業でした。

①のスタートアップ企業は自社の業務を走らせ、同時に成長させるような経験豊富な人材を求めるので未経験や経験の少ない人材を雇用する余裕はないと思われますし、採用を検討するという企業と出会う確率は相当低いです。定期的に転職サイトをチェックして、そうと思われる企業を見つけ次第、自分の経験や募集要項をみつつ、応募するしかないなと考えました。

次に②の外資系企業ですが、英語が話せることから、当初は外資系企業を想定して探していました。日本で働いている外国人をターゲットにした転職サイトはいくつかあり、

Software Developer Jobs in Japan
Hand-picked developer jobs in Japan for English speakers. No Japanese required. Apply from overseas + visa sponsorship. Silicon Valley-style companies.
Attention Required! | Cloudflare

主にこの2つのサイトで新規の募集がないかを毎日チェックしました。

残念ながら、日々アップされる求人で応募できそうなものは少なかったです。理由はわかりませんが、昨年(2022年)からアメリカのGAFAM系をはじめとするテック企業がリストラを始めたことが、外資系ITスタートアップの採用環境を冷えさせた要因、と噂されていました。

求人が少ないと、応募が集中します。日本で外資系のスタートアップ企業がどれくらいあるのかわかりませんが、応募者が多ければ当然採用される確率も低くなります。外資系に絞っているとそもそも応募回数も少ない、ということで日本の企業も探し始めました。

私が主に利用していたサイトはLinkedInで、毎日配信されるLinkedIn Job Alertsをチェックしました。応募するポジションはフロントエンドエンジニアだったので、フロントエンドエンジニアを募集する求人は、情報収集として企業のホームページの採用ページもしっかり確認しました。

実務未経験への対処

年齢と異なり、実務未経験は対応のしようはあるのではないかと考えます。

私がとった行動は、ボランティアでエンジニアの仕事をすること、でした。

幸い、コードクリサリスを修了した他の何人かのメンバーが日本にある外資系のスタートアップで、ボランティアをしていました。そのメンバーの一人にLinkedIn経由でDMを送り、働きながらできそうかなどを問い合わせ、自分もそのスタートアップに応募しました。

Volunteer Opportunities | mamoru
We are on a mission to protect our planet by accelerating access to sustainable living. We are looking for bright and passionate individuals to join our team an...

こちらで経験させていただいたことは、非常に大きかったです。

応募数と面接社数

応募状況、応募日、応募メッセージなどをスプレッドシートに記録していたのですが、記録によると、応募数11件、面接件数3件でした。書類選考段階での不採用は6件、返信なしが2件でした。ちなみに、面接していただいた企業はすべてPaiza転職のサイト経由でもらった面談確約のスカウトだったので、自ら応募した求人はすべて書類選考での不採用でした。

転職活動の自分のスタイルとして、募集要項を見つつ、自分なりに面談の確率がありそうだと思ったところを応募したので、件数としては少ないと思われます。最初の記事でも述べましたが「運が良かった」ということに尽きます。

方針としては、「ボランティアで1年経てば多少なりとも実務経験として評価の対象になると思うし、それぐらいで転職が決まればいいかな」と考えていました。最終的に1年経った段階で応募しようと思える求人を100件ぐらいストックしようと考え、LinkedInなどでみつけた求人の募集要項ページをブックマークしていました。転職が決まった時点でストックしていた求人は31件ありました。

メンタルケア

転職が決まるのは運。

…と割り切って考えていても、感情面で「不採用通知がまったく気にならない」という気分にならないのは人間の性なのかもしれません。自分を卑下するわけではありませんが、「自分みたいな年齢の人を採用するわけない」「採用されなくて当たり前」と、なるべく気にしないようにするために、参考にした情報を2つ共有したいと思います。一つ目はYoutube動画です。

The pain of not being able to find a software job

この動画はYouTubeのおすすめ動画に上がってきました。

概要を説明すると、この方が2016年にカレッジを卒業してからソフトウェアエンジニアになるまで600社から不採用通知をもらった、という内容です。この動画で彼が「就職するということ」について主張していたのは、

Numbers and luck. Applying for job it will always be a numbers game. This was no exception.

「数(応募数)と運。就職活動は数のゲーム。そこに例外はないと思う」

というものでした。アメリカの彼の経験や状況と、自分の状況とは異なるのですが、とにかく「エンジニアになるということはこういう苦労の先にあるのだ」と捉えて、転職活動で落ち込まないよう意識するのに役立ちました。

二つ目は、当時読んでいた本の中に書かれていた内容です。

この本に書かれていたアーノルド・シュワルツェネッガーのインタビューのエピソードと、ナポレオン・ヒルの言葉を座右の銘にしていました。

ボディビル選手を引退した当時のアーノルド・シュワルツェネッガーは、次の目標がハリウッドで最も稼ぐ俳優になることであり、そのための方法について、インタビューで

まずはなりたい自分のビジョンを描くこと。次はあたかもそれが実現したかのようにふるまえばいいだけです

とコメントしたそうです。また、ナポレオン・ヒルの言葉で紹介されていたのは、

富を得るためのマスターキーとは、自分の思考をコントロールすることだ。自分自身でコントロールできるものは、自分の思考だけだ。

これらの言葉は私のお気に入りです。ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』という本でも、同様のことが書かれています。

ボランティアの仕事でアプリケーションを開発しているうちに、あえて自分に言い聞かせたり意識をしなくても「自分はすでにソフトウェアエンジニアとして仕事をしている」と思うようになり、実際に面接でもそのように振る舞いました。

自分が開発した機能は一部ではありますが、プロジェクトの立ち上げから関わったアプリを紹介します。(ちなみにまだ開発途中です)

https://sustainabi.lity.page/

面接の心構えとして参考にした情報

面接でよくある質問と回答例について。他にもたくさんの動画や解答例があると思いますし、動画の内容をそのままコピペで定型的に回答することが最適解なのか?と聞かれるともちろんそれは違うでしょ、となりますが、個人的に「そうか~、なるほど!」と思った動画を紹介します。

毎度毎度、英語の動画でスミマセン。一つ目は自己紹介について。2つ目は、日本の企業では一般的な質問ではないかもしれませんが、海外では割と一般的な質問?のようで「なぜあなたを採用すべきですか」という質問です。

自己紹介については、履歴書に書いた内容を要約すること、回答内容を話す時間は45秒程度、長くても1分程度にまとめるのがよい、といったことが解説されています。

2つ目の「なぜあなたを採用するべきですか」という質問に対して、回答すべきは、「募集要項に書かれている仕事の要件、期待していることに対して、一つ一つ『自分には、これらの要件に対して全て応えられる経験、実績があります』と具体例を交えつつ説明すること」と解説されていました。言われてみればそうなのかもしれませんが、すごくシンプルで驚きました。

営業のプレゼンテーションと同じで、「顧客を満足させること、期待を超えること」という原理原則は何にでも通用する、ということなのでしょう。

評価していただいたポイント

採用いただいた企業から、どういったことを評価していただいたかについて。恐らく評価されたのではと考えるのは次の2点です。

  • プログラミングが好きであること、新しい技術に関する学習意欲が高いこと
  • 顧客主義であること

一つ目についてですが、IT技術はどんどん新しいツールが開発されています。現在主流のフレームワークやライブラリ、プログラミング言語も、5~10年後には一新されている可能性が高いです。このため、常に新しい技術を学ぶことに抵抗がなく、新しいスタンダードを柔軟に受け入れる姿勢がある、という資質が求められます。

自分のケースで言えば40代からプログラミングを始めて2年以上継続していることから、「コードを書くのが好きだから」という志望動機は、資質として認められたと思われます。

二つ目の顧客主義については、マーケティングの仕事をしていて常々意識していた考え方です。「マーケティング」については多くの書籍などに書かれています。例えばwikipediaによると、マーケティングは、

価値(顧客知覚価値)あるプロダクトを提供するための活動・仕組みである。

と書かれています。

「価値ある」とは顧客にとっての価値であり、世の中のあらゆる商品やサービスの価値は、顧客が決める、ということです。主体はいつも顧客であり、商品やサービスではありません。

顧客が何を求めており、どんなことに対して「お金を払ってもいい」「お金を払ってでも解決したい」と感じているか、その問いを解明するのがマーケティングとして求められる仕事だと考えます。

面接では企業のビジネスに関する質問には上記のような視点で回答したので、恐らく、エンジニアという括りの中では、他の候補者とは差別化できたのではと推測します。

おまけ

最後におまけですが、可能性があるかどうかもわからないのに、なぜ自分が2年以上も継続できたかについてです。かっこよく言えば「情熱」でしょうか。ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』で言うと、マスターマインド、という言葉が近いかもしれません。

情熱って何だろうか、というと、「時間を忘れて没頭できること」でしょうか。そして、情熱の対象が何であれ、今まで何かに「時間を忘れて没頭」した経験のある方は、挑戦する対象が嫌いなことでなければ、大抵のことはできるのではないか、と思うのです。好きなことであれば、より可能性が高まると思われます。嫌いなことを継続するのは大変ですし。

事実かどうかは別として、「資格の取得に必要な勉強時間」と検索するといくつかの指標が出てきます。多くの時間を費やす必要がある難易度の高い資格、例えば公認会計士や税理士などは3000~4000時間、と言われています。

実際に4000時間というと、日数にしてみれば166日、一日10時間勉強するなら400日、5時間の勉強なら800日でしょうか。

例えば、今まで一番自分が時間を費やしたのは、スプラトゥーン2というゲームで、告白するとトータル3000時間ほどプレイしていました。任天堂スイッチのアカウントのプロフィール欄にプレイ記録が記載されているのですが、このプレイ時間を見て、「これぐらいの時間をゲームに使う情熱があるのだから、同じくらいの時間を費やして挑戦すれば、成し遂げられるんじゃないかな」と思ったのも、未経験からエンジニアを目指そうと思ったきっかけの一つです。

以上が振り返りです。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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