ー市場規模について
マーケティングの仕事をしていると、市場規模を聞かれることがある。例えば、民間の調査会社で矢野経済研究所や富士経済が詳細なデータを販売しており、プレスリリースなどで調査の概要を公表している。
矢野経済研究所や富士経済は調査する市場で事業を行っている各社に問い合わせて、出荷ベースで売上を積み上げていき、市場規模を推計している。これらのデータは非常に参考になるので僕もよく利用させてもらっている。こういった有料レポートは詳細にまとめられているので、コスト的に余裕があるのであればこの2社のレポートを読んでいただくほうがよいと思う。
ただし、あいにくではあるが、当然この2社がレポートとして扱っていない分野の市場もある。調査会社で扱っていない市場の場合、自分でどうにかしなければならない。
そこで、次に活用するのは政府統計だ。便利なことに、政府統計はネットで調べることができる。政府統計の総合窓口というページで国交省、総務省、経済産業省、内閣府、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省など、それぞれ関係する各省が毎年まとめた資料をサイト上で公表している。
その中でも僕が特によく活用するのが総務省の公表している家計調査だ。今回は家計調査の使い方を紹介し、後日そのほかの統計資料をまとめていこうと思う。
ー家計調査とは
それでは家計調査について、概要を追って行こう。
(以下の内容は大まかに言えば「統計上なるべく偏らず、有意な差がでないように配慮して数値を収集していますよ」という内容なので、「数値上の細かい前提条件は信用するから」という方は次回に進んでいただければと思う)
総務省統計局の「家計調査の概要」(http://www.stat.go.jp/data/kakei/1.htm#kakei_1)によると、調査の目的は、
“家計調査は,統計法に基づく基幹統計「家計統計」を作成するための統計調査であり,国民生活における家計収支の実態を把握し,国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的とする。”
となる。
家計調査の動向は月ごとに調査されているので、消費者の景気がどのように動いているのか、ある程度の判断基準にはなっているようである。
次に、調査の対象は、
“家計調査は,全国の世帯を調査対象としている。
ただし,下記に掲げる世帯等は世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しいことなどの理由から,調査を行っていない。
(1) 学生の単身世帯
(2) 病院・療養所の入院者,矯正施設の入所者等の世帯
(3) 料理飲食店,旅館又は下宿屋(寄宿舎を含む。)を営む併用住宅の世帯
(4) 賄い付きの同居人がいる世帯
(5) 住み込みの営業上の使用人が4人以上いる世帯
(6) 世帯主が長期間(3か月以上)不在の世帯
(7) 外国人世帯”
とある。
「日本人の世帯で、生活を通して主体的に一定以上のお金を消費している」という感じだろうか。
次に、調査世帯の選定であるが、
“家計調査は標本調査であり,層化3段抽出法(第1段―市町村,第2段―単位区,第3段―世帯)により世帯を選定している。選定にあたっては特定の世帯が続けて調査の対象にならないように配慮している。市町村の抽出の仕方は次のとおりである。都道府県庁所在市及び政令指定都市については各市を1層とし52層に分けた。その他の人口5万以上の市については「平成22年国勢調査」の結果に基づき,地方,都市階級に分けた後,
(1) 人口集中地区人口比率
(2) 人口増減率
(3) 産業的特色
(4) 世帯主が65歳以上の世帯数の比率を考慮して74層に分けた。また,人口5万未満の市及び町村は,地方で分けた後,(1)地理的位置(海沿い,山地等),(2)世帯主の年齢構成を用いて,計42層に分けた。このようにして分けられた全国計168層の各層から1市町村ずつ抽出した。”
とある。
この部分に関しては、長い期間をかけて、なるべく偏りがないように集計してきた結果の選定基準であると考えられる。
この他、調査事項、調査の時期、方法、結果の公表、調査の沿革、調査の法的根拠なども書かれているが、こちらに関して興味がある方はリンク先を確認してほしい。
ここでいったん区切って、次回は家計調査にどのようにアクセスしていくかを解説していく。
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