問題解決の思考を学ぶⅣ 問題解決の結果と分析 その1

①問題の認識→②解決策の立案→③解決策の実行→④問題解決の結果と分析

今回は④問題解決の結果と分析のステップだ。
一般的に、物事はPDCA(Plan・Do・Check・Actionの頭文字)のサイクルで進めるのが最も効率が良いと言われている。問題を解決する一連のプロセスでいえば、②から④までがこれにあたるわけだが、今回の④ではCheckとなる。

通常であれば次に⑤でActionにつながる書籍を紹介すべきであるのだが、適切な書籍は見当たらず、またおそらくそのような書籍も存在しないのではないかと思われる。この点についての言い訳は、後述させていただきたい。
それではCheck(問題解決の結果と分析)で参考になる本を紹介しよう。

■思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践 波頭 亮著

本書は題名にある通り、「思考」「論理」「分析」の順で3つの章で構成されており、それぞれの章で思考の定義、論理の定義、分析の定義と言葉の定義から入り、それぞれの概念の考え方から使い方を説明している。

読んでいただければわかると思うが、第一章の「思考」と第二章の「論理」は本ブログの①問題認識と②解決策の立案で紹介した書籍で書かれていることと基本的には同様の内容となっている。
筆者によって言葉や考え方のプロセス、その伝え方が多少異なるので、この部分は比較しながら読むと新しい発見があるかもしれない。そこで今回は僕が役に立つと感じたポイントを第三章の「分析」に絞って、いつものように3つ紹介したい。

―分析の定義 ―構造化 ―グラフ化

それでは順に追って紹介していこう。

―分析の要件

1つ目のポイントは「分析の要件」だ。本書の153Pで分析を次のように定義している。

「分析とは、一義的には「要素に分けること」であり、実際の行為としては「収集した情報を要素に分ける作業を通して、目的に合致した意味合い(メッセージ)を得ること」

大辞林第三版では分析は次のように解説されている。

①ある事柄の内容・性質などを明らかにするため,細かな要素に分けていくこと。
②知的活動の過程・方法の一。所与の対象・表象・概念などを,それを構成する部分・要素・条件などに分け入って解明すること。

ここで共通している点は分析を「要素に分ける作業」としていることだ。
対象を最少単位まで細かく要素に分けることができればその内容や性質を深く理解できるだろう。そこで分かったことは何かのヒントになるかもしれないし、仮説の基礎となるかもしれない。

ここで注意しなければならないことは、分析すること自体が目的化してしまうことだ。
例えば、あるミステリーの小説を読む時、通常は物語の中で起こる事件の犯人が誰か?という問いが読者にとって最大のテーマになる。筆者が解答を出す前に犯人を推理し、目星をつけた上で犯人がどのように事件を起こしどんなトリックを仕掛けたか、ストーリーの中から与えられた情報をもとに分析する。
その時、もちろん筆者は犯人が簡単に当てられないよう、第三者の視点などを使って巧みに犯人が分からないように網を張る。その網に引っ掛かると、この謎が犯人につながるかもしれないと思い込み、解けない(解答のない)網を解きほぐすことに熱中してしまう。解けない謎を解くことが目的化してしまい、犯人からますます遠のくことになる。

これと同じことが、分析という作業においても往々にして発生する。このような袋小路に迷わないためには、分析する目的を明確にすることが何よりも重要な要件となる。

本書ではこの「①目的の存在」を第一の要件としており、これに加えて②「情報収集の必要性」と③「意味合い、メッセージを得ること」という3つの要件を提示している。
要するに①分析する目的は何か?②分析は本当に必要なのか?③分析したとき明快に意味が分かるか?という3つの問にすべてYesと答えられて初めて分析する価値が生まれる、といのである。
③について補足しておくと、いくら分析しても意味が明快になりにくい事象というのが世の中には存在する。例えば「人生の意味とは何か?」「宇宙の最果てに何があるのか、それを知るには何の意味があるのか?」「犬や猫の鳴き声の違いにはどんな意味があるのか?」などは、ヒントになりそうな分析対象がたくさんあるにも関わらず、明快に意味や答えを出すことはできないだろう。
従って、分析する前に「目的」「理由」「意味合いを得ること」という3つの要件をそろえることが重要、としている。

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