問題解決の思考を学ぶⅡ 解決策の立案 その7

①問題の認識→②解決策の立案→③解決策の実行→④問題解決の結果と分析

これまで4冊の本を紹介しながら、解決策の立案のための帰納的な考え方と演繹的な考え方について解説した。そこで、今回は①~②で習得した考え方、論理的思考を頭脳の中から素早く取り出し、的確な解決法を導き出し、そして実行に移すステップとして、とても参考になるトレーニング方法が書かれている書籍を紹介したい。

■ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング 赤羽 雄二著

自分が読後最初に感じたことは、題名の「ゼロ秒思考」よりも副題の「頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」の方が重要なのではないか、ということだ。というのも、ほとんどの人が(実質的にゼロ秒であるかどうかは別として)筆者の提案するトレーニングを続けることで、短時間で自分の中にある物事やイメージに対して深く考えをめぐらせたり、自分なりに意味づけして解釈をまとめたりできるようになると思われるからである。

ちなみに、僕も考えが煮詰まったりしたときに活用している程度であるが、たとえ毎日実践的にトレーニングをしていないとしても、この方法を実行すると自分の考えがかなりクリアになるので日々の仕事で大変助かっている。

その「トレーニング」とは、具体的にはメモ書きのことである(このメモ書きの方法については本書の肝であるので、詳細は本書を読んで身につけてほしい)。

考えをクリアにする以外にも、例えば意見を求められた時にすぐに自分の考えをまとめて話せずに困っている人や、ある物事に対してアイデアが浮かばなくて困っている、という人にも非常に効果を体感できる書籍であると思う。それでは、メモ書きトレーニングを行うことで得られる3つのポイントについて僕なりの考えをまとめていきたい。

―手を動かすことで思考をクリアに―論理思考を的確な言葉で表現する―浅い思考から論理思考へ

始めに、この3つのポイントは厳密に本文に書かれている文ではないので、僕の解釈が飛躍していたり、筆者の言わんとすることと本質的にズレていたりする部分もあると思う。お気づきの時は容赦願いたい。

また、本文で書かれているページ順とは順番が異なっているが、本書で推奨されているメモ書き(以下、単に『メモ書き』と記す)の一連の流れに沿った順番でまとめた。それでは一つずつ内容を追って行こう。

―手を動かすことで思考をクリアにできる

1つ目の効果は、『手を動かすこと(メモ書き)で思考をクリアにできること』である。ただし、メモ書きには条件があり、それは自分の頭の中にある考えやアイデアを手を動かして書き出す、ということだ。

例えば、PCやスマホなどでタイプして文章を書くことではこの効用は薄く、また手書きであっても学校で先生が黒板に書いた内容を機械的にノートに書き写す、というような脳を使わない状況においてはこの効用の恩恵にあずかれない。この条件が重要であることをここに明記しておく。

本書のP64『メモ書きの効能』に頭の中にある自分のアイデアや思考を手書きで文字に書き下ろしていく作業をすることで、「頭が整理される」と書かれており、さらに頭が整理されるだけでなく、他にも3つのポジティブな効能について述べられている。
これらの効用についての科学的な根拠までは本書に記載がされていないが、築山節著の『脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める』(※1)という書籍にもメモ書きが医学的に脳に良い効用を与えるという内容が書かれている。同書についてはまた別の機会で紹介したいと思うが、興味がある方は一読をお勧めする。メモ書きになぜこのようなポジティブな効果があるのか、という理由について理解が深まるだろう。

※1:手元にこの本がないので詳細はうろ覚えであるが、著者の築山節氏は脳神経外科専門医で、脳の働きについて医学的見地からわかりやすく書かれている。

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